COLUMN

Women in Paris Vol.11
Mikako Ishii(1/3)

ニューヨークからパリへ――。幼い頃から海外を見据え、アメリカの高校へ進学ののち、ニューヨークのパーソンズ美術大学で学び、パリへ渡った石井実佳子さん。自身のファッションブランド「Ambali」(現在はfabrique by AMBALIに改名)を立ち上げて16年目となる今のパリでの暮らし、そしてそこに至るまでの経緯をお聞きしました。

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「美容師として働いていたこともある母から、お客さまをきれいにしたいという気 持ちには影響を受けました」

埼玉県で美容室を経営する両親のもと、4人兄弟の末っ子として生まれた石井実佳子さん。「母方の祖父が戦後、大宮で始めた事業を両親が継いだと聞きました。戦争で東京を焼け出された多くの人たちが、そのあたりで新たに暮らし始めたので、需要がたくさんあって、芸者さんの髪なんかを結っていたそうです」「私が中学生の頃、下の姉がニューヨークのパーソンズでプロダクトデザインを学んでいました。私は東京の女子校で規律もガチガチの中で毎日を過ごしていて、アメリカの学校の自由な様子を聞いて憧れたんですよね」。ファッションへの意識が向いたのも、この中学生の頃のこと。周りはみんなおしゃれに興味がある子達ばかりで、その環境は大いに刺激になった。また、スーパーモデルが全盛の時代で、雑誌からも影響を受けたという。

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祖父が開業した美容室。写真の質感も味わい深い!

中学卒業後は、自由を求めてアメリカへ。「ニュージャージーの高校へ進学したのですが、その学校は医師や弁護士を志望する生徒が集まる進学校で、入ってみたものの違うなと。クリエイティブな方向へ進みたかったので、途中で転校しました」。高校在学中、姉を訪ねてたびたびニューヨークへ足を運び、ヴィンテージショップを巡るなどの体験を重ねたことが、石井さんの気持ちをますますファッションの世界へと駆り立てた。将来へのビジョンはクリアになり、姉と同じパーソンズ美術大学へ進学することに決める。「ファッションに関わる仕事といっても、デザイナーだけでなく、カメラマン、スタイリストなどのビジュアル作りに関わる職種などもたくさんありますよね。高校で姉に勧められて陶芸のクラスを取ってみたら面白くて、立体で何かを表現するのが自分は好きで向いてるんだな、と気づいたんです」。デッサン、彫刻などの作品を提出して無事入学、ニューヨークでの生活が始まった。

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ニューヨークのパーソンズ美術大学にて、個性的な生徒たちに混じって多くのことを学んだ。