COLUMN

Women in Paris Vol.6
Asami Maeda(3/4)

近年はショーのフロントロウに座るセレブリティのヘアを手掛けることが増えてきたと話す前田さん。バックステージでモデルを相手にする仕事とはずいぶん違って戸惑いもあるのではないかと思いきや「セレブリティの方はご自分の色があるし、お召しになる洋服との兼ね合いを考えてご本人と話し合ったりするのが楽しいです。バックステージでの仕事は、モデルが誰かということよりも髪そのものに集中するからヘンに緊張することはないし、サクサクやっていました。そういう意味ではセレブリティのお仕事には違った緊張感があって、それぞれに楽しいですね」ととてもポジティブ。人に出会うことが楽しいし、仕事で毎回違う人に会えることがうれしくて仕方ないという。「すごく難しいリファレンスが事前に送られてきた仕事なんかは、前の日から行きたくないなあ、と思いますけど(笑)、人に会いたくないから行きたくないということは一度もないです。自分の性格に合ったことを仕事にできて本当にラッキーですよね」

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昨年、街でのロケ中、知らぬ間に(?)撮られていた!

現場で人と会い、話をすることで生まれてくる何かやその瞬間を楽しみたい。ハプニングを愛せなかったら、たくさんの人が集まってものづくりをする意味がない、とまで言い切る前田さんは、瞬発力の人間だと自身を分析する。「夫は以前、ヘアアーティストの人とルームシェアをしていたことがあって、その人は家でウィッグやエクステをたくさん作っていたそうなんです。師匠のakkiもそういうタイプで、オプションをいくつも用意しておいてクライアントに見せられる準備をしておく人でした。私はやらないんですよ。ただのサボりなのか、自分のパッションを信用しているのかいまだに分からないんですけど(笑)。以前は休みの日はひたすらウィッグ作ってます、っていう人こそヘアアーティストのなのかな、なんて思っていましたけど、やりたくないことはやれないですね」

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Kenzoのバックステージにて。

また、現場でのケミストリーを楽しめるその性格は、悩んだ挙句ヘアアーティストの道に進んだことも肯定的に捉えさせている。「メイクが好きだからこそ、毎回いろんなメイクアップアーティストの方とご一緒できることが刺激になるし、ヘアアーティストになってよかったなと改めて思うんです。分業であるということは、刺激を与えてくれる人が一人増えるということでもありますしね」。ヘアメイクアーティストとしての経験があること、そして何よりメイクが好きだということは、プロジェクトを共にするメイクアップアーティストを理解する上でも役に立っているし、その状況を俯瞰で見て全体のバランスを取ることができる。「なんとなく、撮影の時ってヘアから始めることが多いように思うのですが、私はメイクさんに先にやってとお願いすることがよくあります。それを見て私が引き算をしたほうがよさそうならそうするし、メイクがナチュラルならヘアで少し何かやるとか。お互いにエゴがぶつかり合うと大変ですけど、私はメイクさんや他のスタッフとのキャッチボールからクリエーションするのが本当に楽しい」

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昨年9月、妹&息子とともにモロッコを旅した際のスナップ。