COLUMN

Women in Paris Vol.5
Ayumi Togashi(3/3)

今住んでいる18区の家は、フランス人のパートナーと「PACS」を選んで共に生活を始めたときに購入してリノベーション。「リノベーションは今も続いています。終わりなき、サグラダファミリアみたいですね(笑)。最初の頃とは気分が変わって手を加えるところもあれば、彼との折り合いがつかなくて手付かずになっている箇所もあります」。パートナーはノルマンディの出身で、そちらにも土地を持っていて、いずれはそこにエコハウスを建ててみたいと思っているという。「故郷の山梨では祖父母がぶどう畑を持っていて、そのお手伝いをよくしていました。今はノルマンディに実験的に果物の木を植えて育ててみています。畑仕事が好きだから、行くと楽しくて、欲望はどんどん膨らみます」

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ノルマンディの土地の一角!「山の一角の斜面なので段々畑みたいになっています。最初はもっと草も木もぼうぼうでした」

今年の9月に小学校に入学した男の子の母親でもある冨樫さん。パートナーと手分けして子供の送迎や家事をこなしながら、合間に自宅で仕事をする毎日だ。絵を描く作業の流れは基本、手書きした下絵をスキャンして、その後はコンピュータを使う。コンピュータでの作業については、スタージュ終了後、工業デザイナーであるパートナーに教えてもらって習得したという。「息子が帰宅する頃にやる気スイッチが入ったりして(笑)。時には外で仕事をしたいなとも思うけれど、道具や資料を準備して出かける方が大変で。いずれにしても一人で仕事に向き合う時間が長くて、悩んだ時にちょっと相談できる人がいないんですよね」

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ノルマンディでは養蜂にも挑戦。「パリで研修を受けました。蜂の生態は学ぶことが多くて、興味深いです」。
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そしてその子たちの食糧を…。
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略奪するという😂「おいしいです😭」

コロナ禍が始まった頃、フランスではロックダウンの時期が数ヶ月続き、人と会えないという意味でもかなりヘビーだったと想像できるが「仕事に関して言えば、一人で作業をする時間が長いのは以前からのことで、コロナは関係なくて。むしろ家族と密な時間を作れたし、非日常を楽しめていたなという感じがあります。苦にはならなかったです」。迷った時やアイデアが生まれない時、煮詰まった時、どう解決していくか、その方法は今も探しているところだという。インタビューの時はクリスマスカードを作るミッションをいくつか抱えている最中で、この記事が公開される頃には、ギリギリまで悩み、迷って生み出された素敵なクリスマスカードが、温かなメッセージと共に、いろんな人の手元に届いていることだろう。

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「ヴィンテージというと聞こえのいい中古のコンクリートタイル」を…。
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敷き直してこんな風に!
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まだリノベーションが続いているという自宅の一角。